放送日:2015年5月8日

「空間をオシャレに見せるあかり」

 普段、私共が空間デザインをする際、オーナー様より「カフェのような」とか「ホテルのロビーのような」などと、それぞれにイメージされる商業施設に例えて、「とにかく格好良く」とか「とにかくオシャレな感じに」などと要望を請ける時があります。
 皆様の中にも、ご自宅の部屋を店舗のようなカッコいい空間にしたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 ただ、その描いたイメージを形にするには、少し難しそぉと思われている方や、どうしたら良いかわからない方も多いと思います。そこで、今回は「空間をおしゃれに見せるあかり」としまして、ご自宅のお部屋などを「あかり」で、おしゃれに格好良く演出する方法やコツをいくつかお伝えできればと思います。

 まず、今、皆様のお部屋ではどんな照明をお使いでしょうか?
 おそらく、「天井の中央に大きめな照明がひとつ」という方が、ほとんどだと思われます。このひとつの天井照明で部屋を照らす手法は、確かに、日本の住宅では高度成長期以降、一般的な照明方法としてよく使われており、お部屋を均一に明るく照らすには効果的な照明方法といえます。しかしながら、このような天井照明だけでは、照らされるインテリアの陰影も減り、素材感もマットになってしまうことから、空間にリズムや広がりが無くなり、面白みに欠ける見え方になってしまいます。
 例えば、今まで訪れたオシャレなカフェや、格好良い店舗の照明を思い浮かべてください
 ひとつの空間の中に天井照明だけではなく、たくさんの種類の照明が様々な箇所で使われている事と思います。このことからも、感じ取れるように、おしゃれでかっこいい照明の基本とは何か?
 それは、お部屋を全般的に照らす天井照明などの「全般照明」に、部屋の各部分を照らす壁付け照明やスタンドライトなどの「部分照明」を加えた「1室多灯」からなる「光の組合せ」にあります。
 なぜ、このようないくつかの照明を配置する「光の組合せ」がおしゃれに見えるかというと、それは、ひとつの空間で「明るい箇所」と「暗い箇所」が生まれることにあります。
 「暗い箇所」=「影となる箇所」をあえて空間にのこす事で、お部屋の中に奥行感ができ、立体的な空間を演出することになるからです。
 このような、光のあて方によって物や空間を適切に見せることを照明用語では「モデリング」というのですが、今までのように、お部屋の隅々まで均一に照らす天井照明だけでなく、時間や場所、必要に応じて「あかり」を配置し空間に「光と影のリズム」を創るモデリングを行うことが、「空間をオシャレに見せるあかり」の最大のポイントとなります。

 では、実際にどのように空間を照らせば、オシャレで格好良く見せることができるか?
 引き続き、来週お伝えしたいと思います。