放送日:2017年5月12日

「寝室のあかり」

 ところで、皆さん昨夜はぐっすり眠れましたか?
 ぐっすり眠れた日は、翌朝スッキリと目覚め一日気分が良いものです。日々の暮らしを快適に過ごす為、質の良い睡眠をとる事は健康にも欠かせないものです。十分な睡眠時間を取れたとして人生の3分の1を占めるといわれる睡眠ですが、昨今「寝つきが悪い」「途中で何度も目が覚めてしまう」など睡眠に関する悩みを抱える方も少なくないようで、日本では5人に1人が何らかの不眠症の傾向にあるとも言われています。
 眠れない原因には、体の不調やストレスなど様々ですが、その中でも大きな要因のひとつに光が眠気を妨げている場合があります。そのため、上質な睡眠をとれる寝室には適切な照明計画が必要となります。そこで今回は、あかりの観点から、寝室の照明を考える際に、いくつかの外せないポイントなど、お伝えできればと思います。

◆ポイント1:複数のあかり
 日本の一般的な住宅の寝室では天井に設置したメインの照明をつけて終わり、というご家庭が多いと思いますが、時にはゆっくりと落ち着いた雰囲気のあかりにしたい時もあると思います。寝室といってもそこで行われる行為は、睡眠だけではありません。例えば、寝る前に読書をしたり、TVを観たり、スマホをいじったりと過ごすこともあるでしょうし、洋服を着替えたり、お化粧や身だしなみを整える空間でもあります。これらの様々な生活シーンに対応するには、いくつかの照明器具を組み合わせたり、明るさ感を変えたりできるようにしておくと、快適で過ごしやすい寝室になります。

◆ポイント2:安眠のあかり
 様々な行為が行われる寝室ですが、基本的に求められることは1日の疲れを癒し安眠できることです。それには、就寝前に気持ちを落ち着けて寛げる空間づくりが望まれます。
 ゆったりとリラックスした雰囲気にするには、照明の光の色が大事なキーポイントになります。現代のような人工照明のない時代から人は就寝前、夕焼けや温かな炎のような色温度の低い赤みがかった光の中で生活してきた為に、照明でいえば照度を抑えた電球色の和らいだ光でお部屋を包むとゆったりとした気分になり、体も自然と安眠の為の準備をし始めます。これによって、自律神経のバランスも整い良い方向に働いていき安眠できる体質づくりを助けます。

◆ポイント3:妨げないあかり
 寝室は他の部屋と異なり、良い眠りを妨げない工夫が照明にも必要となります。例えば、夜中にトイレに立つ時にも、部屋全体を明るくすると眩しく不快なだけではなく、眩しさで自分だけでなく相手も起こしてしまう事もあります。その為、目に直接光源が入らない位置に照明を配置したり、足元の安全確保の為のあかりを準備するなどの工夫も良いです。