放送日:2017年7月14日

「タリアセンの照明」

 皆さんは「タリアセン」という照明器具をご存じでしょうか?
現在ある照明器具のほとんどが、LEDを光源とした器具となっておりますが、光源がLEDになった事で、機能性も高まり、ランプと器具が一体になったものや小型化したものなど、様々な照らし方、形態の新しい商品が日々市場にたくさん出回っている現状です。
 そんな中、古くは100年程前に作られたもので、形を変えず、時代を超え今なお根強い人気を持つ優れたデザインの照明器具がいくつか存在します。
 その1つに「タリアセン」という照明器具があります。
 「タリアセン」は、20世紀を代表するアメリカの建築家で、近代建築の巨匠と称される「フランク・ロイド・ライト」がデザインした照明器具をいいます。
他にも、当時の建築家や工業デザイナーが作り上げた名作とされる照明器具はいくつかありますが、今回は、この「タリアセンの照明」について少しお話できればと思います。
 「タリアセン」という言葉は知らなくても、「フランク・ロイド・ライト」という建築家の名前は一度は耳にしたことのある方も少なくないと思います。
彼の代表作に、滝の上に張り出したバルコニーが特徴的な「落水荘」や「かたつむりの殻」と形容される螺旋状の構造の建築物「グッゲンハイム美術館」などがあります。日本でも「旧帝国ホテル」や「自由学園校舎」などの設計に携わり、他にも数多くの建築作品を後世に残す、日本の近代建築に影響を与えた著名な建築家となります。
 ライトは、日本からの帰国後に当時、本拠地としていたタリアセンの地で「タリアセンフェロシップ」という建築学校を設立しており、ここで数多くの実験や作品発表を行い、様々な作品が世に生まれることになりました。その時、デザインされた照明器具シリーズがこの「タリアセンの照明」になります。
このように、「タリアセンの照明」には、フロア型・卓上型・吊下げ型などいくつか種類があります。その中でも有名なのが「タリアセン2」というフロアタイプの照明です。
 この特徴的な形と光は照明器具というよりは、オブジェのような存在感があり、昼間はオブジェとして、夜は遮光板の間接光の陰影を楽しむことができ、他の照明器具には表現できない独特な味わいを持っています。また、木肌の支柱が形状にアクセントを与えていることで、一見、洋風な器具でありながら、和の空間にもしっくり調和する様式を超えたデザイン力の深さを感じる「フランク・ロイド・ライト」ならではの照明器具といえます。もし自宅に置くとしたなら一生使っていける照明器具のひとつになるでしょうね。
 実は、朗報なのですが、今年「フランク・ロイド・ライト」生誕150年となる記念の年になり、ヤマギワのショールームで記念イベントが開催されています。今回、興味を持たれた方は、実物を観れる良い機会になりますし、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか