第631回 あかりの演出 「お庭のライティング」 2018.11.09
放送日:2018年11月9日
「お庭のライティング」
今回は「お庭のライティング」と題しまして、夜間、お庭を眺めて楽しむ為の、お庭の光の作り方などお伝えできればと思います。
郊外に建つ店舗のファサード、またホテル・旅館の庭園などで、屋外の樹木を主に照らし出し、美しい庭の夜景を創るライティングを見かけますが、昨今では住宅においても、建物だけでなくご自宅のお庭にも、こだわりを持たれ、ガーデニングの計画の際、照明を設置されたり、検討される方も増えているようです。
例えば、リビングから外部に直接出入りできるバリアフリーのウッドデッキを設置したり、その先にはガーデニングや樹木が植えられ、お部屋からもお庭を眺めて楽しめるよう、建物の「内」と「外」を繋ぐ設計が多く見られ、その際、庭木を照らす照明を設置されたりします。また既存のお庭でも、LEDの屋外用ローボルトライトも安価で良い商品が手軽に購入できるようになったことで、ご自分でお庭を照明される方もいらっしゃるようです。
夜間、仕事や家事が一段落し、就寝までの寛ぎの時間、自慢のお庭を眺めながらお酒でも飲めたら素敵ですね。
もちろん、建物の設計はご自宅によって様々で、お庭の配置や作りも異なると思いますが、この後、室内からお庭を眺める為のライティングの基本をお伝えしますので、各ご自宅の作りに合わせて、少しでも参考にしていただければ幸いです。
まず、屋外のお庭で行うライティング手法としまして、地面にスポットライトなどを設置し下から上へ樹木を照らすアッパーライトがよく使われます。
樹木は上からではなく、下から照らすことで、幹の輪郭が強調され、枝葉の陰影も作り出され、表情豊かな木々のライトアップとなりますので、少し背の高い庭木を照らすには最適なライティング手法といえます。しかしこれだけでは、木々の部分的には明るくなりますが周囲が暗いままだと、余計に影も強調されてしまい、逆に室内から眺めた時に暗さを感じ美しくありません。そこで必要になってくるのが、「地あかり」を取る方法です。
「地あかり」とは上から下に向かって庭全体を照らす光のことで、開口部の上部や軒に設置して広がりのある適度な柔らかい光により、お庭の木々や地面・塀など広範囲を照らし、庭全体の明るさ感を確保できる光となります。
木々などを照らす局所的な光と「地あかり」の光量バランスの調和が、お庭のライティングの美しさをアップさせる基本的なポイントのひとつとなります。
最後に1番大事なポイントは、窓に映り込む室内照明による反射などに気を付け、室内照明「内」と屋外照明「外」の光のバランスを考えるということです。単純に屋外に比べて室内が明るすぎると、綺麗に創り上げたはずの屋外照明が魅力的に見えません。
設計の段階から、「内」と「外」を繋ぐ建築設計と照明計画の融合がお庭を魅力的に魅せる大切なポイントとなるのです。