放送日:2019年7月12日

「夏の夜を彩る蛍の光」

 今回は、夏の「あかり」の風物詩、蛍の光について考えていきたいと思います。
 
 夏の夜、優しく光り飛び交う幻想的な光景として、綺麗でゆるやかな流れの川の水際で仄かに点滅する蛍の光は、見ている者を魅了して、夏の暑さを忘れ、一時の涼を誘う、日本の夏を彩る「あかりの風物詩」といえます。

 日本では昔から多くの蛍が生息しており、私も幼少の頃住んでいた富山市の中心部でも、よく蛍を見かけ、手をかざしては手の平で優しく点滅する蛍の光を観て楽しんだ事を思い出します。しかし残念ながら今では、昔のような蛍の群れを見られなくなりました。
 その要因は様々ですが、環境破壊がすすみ自然環境の大きな変化により、きれいな水辺に生息する蛍にとって住みづらい環境になってしまったことが、大きな理由といえます。
 そこで現在、このような現状を憂い、徐々にではありますが、日本各地で環境改善の試みがされ始めてはおり、中には環境保全に成功した場所も数多く生まれているようです。
 昔に比べ、蛍の数こそ激減しているとはいえ特に、他県と比べても豊かな水環境をもつ富山県では、まだまだ蛍を鑑賞できる名所も数多く点在しているようなので、今年は、心の郷愁を呼び起こす素敵な夏の思い出に、大切な方やご家族とご一緒に夏限定の「あかりの風物詩」蛍の光の観賞に出かけてみてはいかがでしょうか。

 日本には、約40種類程の蛍が生息しているといわれており、富山でよく見られる蛍に、ゲンジホタルとヘイケホタルの2種類がいます。この2種類の蛍を鑑賞できる時期が6~7月頃の間となるので、7月に入り鑑賞できる期間もあとわずかとなりましたが、今がまさに蛍を鑑賞するには良い時期になるようです。
6月上旬頃から「ピカ~ ピカ~」と2~4秒程で点滅するゲンジ蛍が見られるようになり、それに続き「ピカッ ピカッ」と0.5秒程で点滅するヘイケ蛍が見られるようになります。

 富山県は、まだまだ自然豊かなところも多く、ホタル観賞のできる名所もたくさん残っています。県が作成した「とやまホタルマップ」というものがあったりと、ホタルを鑑賞するには恵まれた地域といえます。しかしながら、これらは長い期間で環境改善に取り組まれてきた方々の努力によるものが大きく、その努力を無駄にしないように今後も環境の保全を妨げないようにルールを守ってホタルを鑑賞していきましょう。