放送日:2020年2月21日

「あかりのスイッチ その1」

 今回から主に住宅で使われる「あかりのスイッチ」について考えていきたいと思います。
 ご自宅の新築やリフォームを計画される際、基本的な部屋数や間取りから始まり、外装・内装、キッチン・洗面化粧台・お風呂などの衛生設備機器、また家具や照明などなど・・・決めなければならない事がたくさんありますが、その中でも照明のスイッチは設置されることが当たり前で、実際どのようなデザインや機能が良いのかをあまり深く考える方は少ないのではないかと思われます。
 照明器具を設置するのなら、もちろん照明スイッチは不可欠です。最近では住宅でも、タイマーやセンサー機能、またスマートLED照明など、便利な機能も増えていますが、それらの機器を含め基本的には壁面のどこかにスイッチを設置することになります。これらのスイッチの使い勝手が良く、インテリアにもマッチしているならば良いのですが、例えば、玄関に入って靴を脱がないと届かない位置にスイッチがあるとか、扉を開けた時に隠れてしまうとか、内装材と調和せず浮いている。また、間取り・生活動線に合った位置や数を設けていないなど、完成した後に気づいてしまうと少々不都合を感じながら生活しなくてはならず問題です。実際にご自宅のスイッチ位置や機能を改めて見直してみると、無駄な生活動線など気になる箇所をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 主に新築・リフォームを行う際、工事の流れでいえば照明器具の取付け等は内装が仕上がった後になりますが、壁内部や天井裏に付設する配線工事は上棟後の比較的早い段階の工事となることから、壁や天井が仕上がった後で位置や数を変更したくても難しいことがあります。その為、照明を含めたスイッチの計画は工事の始まる前の設計段階で十分に確認していく必要があるのです。しかしながら一般の方が確認するといっても、線や記号がゴチャゴチャ書いてある電気設備図など見せられても何のことやらわからず、ほぼお任せなんて事になる思います。
 
 そこで比較的に簡単にできる確認方法をここでお伝えします。

 まず難しい配線など書かれた設備図などはいりません。部屋の間取り・建具など必要最低限の確認ができる平面図を書き込み用に何枚か用意します。そして、その平面図を見ながら朝・昼・晩と、その時々の生活行為を頭に浮かべながら、図面の中を歩くように指やペンでなぞってみるのです。例えば、キッチンと家事室を往復したり、部屋からトイレや洗面所に向かったり、身支度して外出する時などなど、様々な生活動線をイメージし図面上で確認しながら、ここにスイッチがあると便利だな、使いやすそうだなと思う箇所に印を付けていきます。
 そして、その印を入れた図面を基に、ここにあると便利だから壁を調整して小壁を設けようとか、開き扉から引き戸にするとか、ベッドで寝ながら照明を消したいからここは3路スイッチにしたいなどと要望を整理した後、設計者と打合せを重ね調整していけば、工事中の仕様変更や追加工事もなくなり、より長く快適に過ごせる生活動線の創造に役立てられると思います。

 実は昨今、より便利で機能性の高いLED照明が増えていると同時に、スイッチひとつとっても様々な新機能を持つ商品が増えてきています。そこで次回は、新築やリフォームの時だけでなく、今からでも、小さい工事やちょっとした工夫で快適に過ごせるようになるスイッチ計画のポイントや新機能の仕様例などを紹介していきたいと思います。