放送日:2021年10月22日

「第1世代の人工照明」

 日本では現在、1年365日を通して毎日、何らかの記念日が存在しますが、照明の世界でも「あかり」にまつわる記念日がいくつかあります。その中でも有名なものに、前回お伝えしました10月21日の「あかりの日」という記念日が有名です。

 「あかりの日」とは、皆さんもご存じの発明王で有名なトーマス・エジソンが1879年10月21日に40時間点灯する実用性の高い白熱電球を開発した日として、その偉業を称え制定された記念日になります。
 ほんの140年程前まで、生活の中で光を出すには必ず火を燃やさなければなりませんでした。そして火は、熱と光を合わせ持ちますが、まず、その光から火を分離する革命を起こしたのがエジソンであり、この電気をエネルギーとした照明によって、今現在のように、我々の生活を昼も夜も安全に豊かに照らし続けることのできる「あかり」を使えているのはエジソンの功績があったからこそといえます。
 この実用性の高い白熱電球の普及から始まり、今ではLED照明と日々進化し続けている電灯照明のあかりですが、発光するのに使われるエネルギーはもちろん電気となります。しかし生活光源として電灯照明が普及する以前は、ロウソクなど直火を使った「あかり」が生活光源の主流でした。

 その当時の生活光源において、ロウソクなどの他にも直火使った灯具はあり、有名なものに「ガス灯」があります。
 皆さんも「ガス灯」という言葉は聞いたことがあると思いますが、日本でも古く幕末の時代1857年に薩摩藩主 島津斉彬が邸内の石灯篭にガス管を通して点灯に成功させたと記録が残っており、それから15年後本格的なガス灯が街に灯ります。1872年10月31日、当時外国人の多かった横浜の馬車道を中心に300基のガス灯が設置されました。そして実は、この横浜にガス灯が本格的に設置されたことを記念して10月31日を「ガスの記念日」に制定されたといわれます。
 その後、ガス灯が普及したかというと、実際は明治に入ってからも、ガス灯で街路を照らす考えはあまり浸透せず、夜、街を歩くには提灯を持って歩けば良いという考えがあったり、メンテナンス性の悪さやインフラ整備が上手く進まなかったなど、様々な理由から一般的な普及までには至らなかったそうです。また、街あかりにガス灯が設置されてからわずか8年後には電灯照明が急速に普及し始めた為、欧米では都市あたり数万基と設置されていたガス灯ですが、日本ではかなり短い間の街あかりであったといえます。その後、ガスは発火のしやすさから「あかり」の利用から「調理器具」など直火として利用されるエネルギーとして使われ方が変化していきました。

 現在、我々のライフラインといえる「電気」「ガス」という2つのエネルギーですが、それらにまつわる記念日が、それぞれに「あかり」に関係があり、この2つのエネルギーを活かす当初の目的が「あかり」からであったとは驚きの事実です。