放送日:2022年1月7日

「新年の“あかり”」

 新年あけましておめでとうございます。
 お正月にちなんだ戒めに「一年の計は元旦にあり」なんて、ことわざもありますが、目標や物事を始めるにあたっては、最初にきちんとした計画を立てるのが大切だという事のようです。そこで、日本では一年に一度の最初の夜明けとなる 1月1日(元日)のめでたい日の出となる「初日の出」を拝む際、その年の願い事や決意などを祈ることが多いようで、昔から日本各地で初日の出スポットに行き、初日の出参りを行う方もたくさんいらっしゃるようです。
 そこで、新年最初の「あかりの演出」は、新年の「あかり」初日の出のお話など少しできればと思います。
 
 今までに初日の出参りされたという方もいらっしゃると思いますが、どちらに行かれましたでしょうか?
日本では季節柄、曇りや雨の多い日本海側よりも、比較的に晴天の多い太平洋側の方が見られる確率がより高いこともあって、先ほどお伝えしたような、初日の出参りに行くツアーのほとんどが太平洋側になるようです。
私事ながら、数十年前に伊豆諸島の式根島という場所で岩場の露天風呂に入りながら初日の出を拝めるという情報を聞いて、東京から船で向かったことがあります。その翌朝、元旦に見た赤くぼんやりと染まる水平線から一気に昇る朝日の美しさはとても素晴らしく、赤からオレンジ、黄色と、短時間の内に変化する朝日に照らされた海面と空の青色とのコントラストが辺りを美しく変化してさせていく様は、神々しささえ感じ、その光景は今でも記憶に残っている程です。
 実は小さい頃から、お正月に飾られる掛け軸や絵画などに見る初日の出の色はほとんどが赤色で不思議だなと思っておりました。
 日本海側の富山にいると東に立山連邦があることで、この一瞬の太陽の赤色を見ることはできないので、朝日は黄色、夕日は赤色と何となく感覚として持っていたからです。しかし、実際、水平線から昇る初日の出を見た際、少し謎が解けたように思いました。

 実は日本では、太陽の色の表現に赤を用いるのが主流ですが、一部のアジア圏を除く日本以外では白か黄色がほとんどで、欧米では太陽は黄色に表現するのが一般的のようです。
 ではなぜ日本が、太陽の表現に赤色を用いるのでしょうか?
島国となる日本では「日いずる国」という言葉が歴史的にも表現として残っているように、東の海の水平線から昇る太陽に思いも強く、その一瞬の赤色に思いを馳せ、1年、1日の始まりを尊ぶ日本人の感受性が創り出した特有の朝日、太陽の色表現なのかもしれません
 もちろん、理由はそれだけでなく、日本は湿度が高いことで、他国よりも赤く見えることや、人種的にも目の色が違うことで光の感じ方や捉え方が異なるなど様々あるようです。しかしながら、とにもかくにも日の出の太陽を赤色に表現することは、日本特有の世界に誇れる美的感覚だなと感じます。
 そして、日本では古来より赤色は太陽のように力があり、強さの象徴として使われてきました。神社の鳥居が赤いように、赤色というのは邪気を払うとされており、また、赤飯や紅白まんじゅうなど赤い食べ物を縁起が良いものとして、祭事や生活の中で使われる赤色は日本人にとって昔から特別な色だったのでしょうね

 そこで始まりとなる今回の「あかりの演出」は、私も初日の出の赤にあやかり、赤色を身に付けて、この1年の計を高め、皆さんに楽しくあかりのお話をさせて頂けたらと思っております。
 今年も1年どうか宜しくお願い申し上げます。