放送日:2022年6月3日

「夜空を彩る大輪の花」

 ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響から多くの祭りやイベントが中止となっておりましたが、今年は所々で開催される祭りやイベントも多くみられます。もちろん感染対策を行いながらと、以前と同じようにとはいかないながらも、徐々に賑わいが戻りつつあることは嬉しい限りです。
 このコーナーでも数年前までは、夏に向かうこの時期、ある「夏の風物詩」となる”あかり”のお話をさせていただいておりましたが、今年は開催される期待を込め、今回は「夜空を彩る大輪の花」大きな花火大会のお話をお伝えできればと思います。

 ところで、・・・花火といえば、やはり夏といったイメージがありますよね
 諸外国では冬をピークに年間を通じて消費されている花火ですが、日本では今頃から8月末にかけて、催される花火大会のそのほとんどが夏に集中しており、その他の季節はあまり需要がないようです。その理由のひとつに、かつて納涼開始を祝うとともに水難者の供養や水難事故防止を願う水神祭を兼ねた行事「川開き」に使用されていた名残だといわれています。
 その昔、江戸時代の頃の「川開き」で最も規模が大きく有名だったのが、江戸幕府8代将軍・吉宗の時代から両国で行われていた「川開き」らしく、玉屋と鍵屋が両岸に分かれて競って打ち上げる美しい花火を江戸の多くの人々が楽しんでいた記録が残っています。 当時屋形船1艘あたりの利用料が5両(約40~50万円)だったにも関わらず、この頃描かれた浮世絵に、川面に無数の船が浮かんでいる「川開き」を描いたものがあり、かなり特別な娯楽のひとつだったと思われます。
このように昔から日本では夏の風物詩として花火が存在してきたようです。
 今では大きな花火大会から、地元に根付いた親しみのある花火大会まで、規模や内容も様々ありますが、数多くの花火が夏の夜空を彩り染め、多くの人に楽しまれてきました。・・・中には、全国各地の花火を求めて旅する花火愛好家なんて方々もいるようですが、「放浪の天才画家で知られる山下清」は日本で最初の花火愛好家ともいわれています。旅のついでに花火を見る訳でなく、花火の為に旅行していたとされ、日本各地の花火大会の光景を作品として残しています。中でも昭和25年に作られた「長岡まつり大花火大会」は代表作として有名です。

 あの大きな音の迫力と、華やかに輝いて瞬時に消える光の儚さをあわせ持つ日本の夏の花火の美しさは、日本人の心に感動を与えてくれる日本固有の美意識が創り出した世界に誇れる伝統芸術のひとつに感じます。
今年こそは富山でも、大きな花火大会の開催を望むばかりですが・・・実は、明日6月4日(土)夜8時から、砺波の庄川、舟戸橋付近で打ち上げられる「庄川観光祭・花火大会」が県下シーズン最初の花火大会として開催されるとのことです。
山々の新緑美しく庄川の清流において、夜空と川面を美しく彩る”庄川の花火”・・・久しぶりに夏の心和むひと時を楽しまれたらいかがでしょうか

 昨今のデジタル光源などの演出では決して真似のできない、自然発火の妙による音と光の饗宴、夏の贅沢なあかりの演出「花火大会」、今年の夏こそは、おおいに楽しみたいものですね。