放送日:2016年12月23日

「勉強部屋のあかり」

 今年も残り1週間となりました・・・明日からクリスマス、そして年末年始に向けてご家族やご友人と多くの方々が楽しい休日を過ごされる事と思います。そんな中、クリスマスもお正月もなく机に向かって頑張っている受験生の方々がいます。
 そこで、今年最後となる「あかりの演出」は、そんな受験生の方々へエールを送る意味で「勉強部屋のあかり」について以前お話した内容も含め少しお伝えしたいと思います。
 私は、建築デザインや照明の参考になることから洋画、邦画を問わず映画をよく見るのですが、その中で昨年見た「ビリギャル」という邦画があります。ご存じの方も多いと思いますが、“学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話”なのですが、その映画の中で冬の追い込み時期、真っ暗な部屋の中で机の上を照らすスタンドライトの灯りだけで勉強するシーンがあります。もしかしたら映画の演出だったのかもしれませんが、この光環境は一人勉強部屋で、能率を上げ集中して勉強するにはとても理想的な照明手法といえます。
 しかしながら、真っ暗な部屋の中、机の上を照らす照明だけで勉強し続ける光景をイメージされると「なんとなく目が悪くなりそう」と心配される方もいらっしゃると思います。
 確かに、暗い部屋の中で光を放つTVやパソコンなどを長時間見続けた場合、画面の点滅や照度差が原因となり、眼精疲労や視力の低下などに繋がる恐れがあります。人の目は明るい所と暗い所を交互に見た時や、視界の中で照度差の大きい光を見続けた場合に、眼球内の調整機能が頻繁に働く事によって目に疲れを感じるわけです。
 つまり、頻繁な照度変化がなく、一定の明るさで照らされる机の上だけを視界に入れる光環境の中、長時間勉強したからといって、それが視力低下の直接的な原因となる事はないのです。もし、周囲が暗いだけで視力の低下に繋がるとしたら、周囲が暗い中で長時間見続ける映画館など、とっくに大問題になっているはずです。
 という訳で、なかなか家で勉強に集中できないという方は、部屋を暗くして机のスタンドライトなど、手元の明かりだけで、一度勉強されることをおすすめします。今までいかに、部屋の中の物(棚の漫画や雑誌、スマホ等)が視界に入って気が散っていたか、集中力が低下していたか気づかれると思います。
 つまり、集中力を高め能率良く勉強するには、机の上の手元の明るささえ十分に確保できれば、その周囲の部屋の明るさは暗ければ暗いだけ良いということになるのです。
 しかしながら、人の集中力をトップギヤで保てる持続時間は90分程度といわれています。その為、長時間能率良く勉強し続けるには、1時間~1時間半に一度机から離れ小休止するのも大事です。その際は、適度な明るさの電球色の柔らかい光の中で十分に目を休め、気持ちをリラックスさせることで集中力回復に効果があり、その後の勉強時間の能率もかなり良くなるでしょう。
 では、来年も皆さんにとって良い年になりますように・・・ありがとうございました。