放送日:2017年10月26日

「ハロウィンのあかり」

 今回はハロウィンのあかりのお話をできればと思います。
 日本でもいつ頃からか、この時期になると街中にカボチャのお化けを多く見かけるようになりました。ハロウィンといえば、少なくとも私の年代では子供の頃、海外の行事としては知ってはいましたが、カボチャのお化けのデコレーションをしたり、パンプキンパイを食べ、お化けに仮装した子供達にお菓子を配るなどをイメージします。
 今では仮装した人たちで騒ぐ日にみたいになっていますが、正直、あまりピンと来ない行事といいますか、一体全体何の行事なのと思ってしまう今日この頃です。
 ただ、最近の子供たちとっては、リアルな行事になりつつあるのか、街中でもハロウィンを題材としたパーティやワークショップを行なったりと、純粋にハロウィンを楽しもうとする子供達の姿を見ると、微笑ましくも思えるのですが、やっぱり不思議なイベントw

 ところで、ハロウィンのシンボルといえる、カボチャのお化けのデザインを今では街中でもよく見かけるようになっていますが、なぜハロウィンにカボチャのお化けをシンボルとしているのかご存じでしょうか?
 このカボチャのお化けの名前を、英語では「ジャック オウ ランタン」といい、直訳すると“ジャックの手持ちちょうちん”なんて意味になります。どうやらジャックという男が持つランタンのあかりに由来があるようです。

 元はアイルランドの古い伝承で、ハロウィンの夜はあの世とこの世の境がなくなり、この時を狙って多くのお化けたちが人間に取り付こうとやってくると信じられていました。そんなハロウィンの夜に、ジャックという酒好きの怠けものが、悪魔に「お前の魂を取ってやる」と詰め寄るところから話は進み・・・あの手この手で悪魔をだまし、悪魔に自分の魂は絶対にとらないと約束させ、魂を取られずに、ジャックは年を取って死んでしまいます。その後、ケチで乱暴者だったジャックは天国には行けず、仕方なく地獄の門をたたくのですが、そこにいたあの悪魔に「お前の魂はとらないと約束したからな」と言われ、地獄にも行けず困り果てます。仕方なくジャックは来た道を戻ると、そこは真っ暗でよく見えないので道がわかりません。そこでジャックは悪魔に地獄で燃えている火の塊を一つもらい、それをカブの中に入れてランタンをつくりました。そしてあの世とこの世を彷徨う当てもないジャックの旅が始まったという話です。
 ・・・そしていつしか、ジャックが持つランタンのあかりが人々の魂のシンボルとなり、この話がアメリカに伝わるとカブに親しみがない為、当時たくさん採れたカボチャでランタンを作るのが一般的になっていったようです。
 アイルランドにて誕生した、カブのランタンがアメリカに伝わりかぼちゃのランタンに変わり・・・そして、日本に伝わってハロウィン文化はどう変化したのでしょうか。正直仮装パーティのイメージが強いようですね。

 ハロウィンに限らず、ある習慣、文化が国を渡り伝わる過程で少しづつ内容が変化していくのも、文化の流れで捉えると面白くもありますが・・・例えば、「なぜ?かぼちゃにあかりを入れるの?」なんて子供に質問された時に、「それはね・・・」と文化の本筋を理解して答えられる大人でありたいと思う今日この頃であります。