放送日:2017年12月22日

「クリスマスイルミネーション」

 今年のクリスマスイヴはお休みと重なり、普段忙しい方々もご家族とのんびり過ごされる方も多いようです。今の時期、街のあちこちでクリスマスの装飾が灯り、クリスマスといえばイルミネーションの光をすぐに連想するくらい、華やかに街を彩り照らしています。ご自宅でも、ご家族でクリスマスツリーなど室内で思い思いにイルミネーションを飾り、楽しまれていることと思います。
 そこで、今年最後となる「あかりの演出」はクリスマスの「あかり」にちなんで、ご家族で楽しめるクリスマスイルミネーションのお話をできればと思います。
 
 今やクリスマスは、本来の宗教色は薄れているものの国籍を問わず純粋に楽しむことのできる特別な世界的行事となっています。日本でも1904年に銀座でクリスマスイルミネーションが灯されたなんて記録もあり、キリスト教徒がほとんどいない日本でさえ今や100年以上も続く歴史のあるご家族で楽しむことのできる行事というか習慣になっているようです。
 さて、ご家族でクリスマスを過ごすために欠かせない装飾がクリスマスツリーです。クリスマスツリーはオーナメントなど飾りだけの場合とイルミネーションのある場合とがあり、中には「飾り付けをしただけで良いか」と思う方もいらっしゃると思いますが、特にお子さんのいるご家庭では、より楽しく華やかな印象を高める為には、光がチラチラ輝き、そして数種類の色ランプを用いたイルミネーションが最適ですので、ぜひクリスマスツリーの飾りにはイルミネーションの光を使って頂きたいと思うのですが、理由はそれだけでなく、イルミネーションに由来する我が子を思うある父親の話があるのです。

 イルミネーションとは・・「明るくすること」「照らされていること」を意味し、このような光の装飾の起源ともされているのが、中世の宗教改革者で有名なマルティン・ルターが考案したクリスマスツリーとされています。1510年、彼が礼拝の帰りに常緑樹の間からチラチラ見える星空の美しさに感動し、自分の子供にも見せてあげたいという純粋な気持ちから、小さなモミの木を家の中に持ち込み、木が燃えないよう枝の先端に星の光をイメージした小さなロウソクをいくつも灯して見せたそうで、これがクリスマスツリーのイルミネーションの起源とされています。
 実は当時の中世ヨーロッパでは、夜は悪霊が支配する時間帯と信じられていた為、子供はもとより、大人でもある時間帯からは外出が禁止されていたそうです。そんな窮屈な時代背景の中、自由に外に出て星を見ることもできない子供たちの為、クリスマスツリーに灯されたロウソクの光を使ってでも美しい星の輝きに見立てて、子供を喜ばせたいと思う父親の優しい気持ちから生まれたのが、私たちの心を今も和ませ温めてくれる、クリスマスツリーのイルミネーションの始まりになるのです。
 
 クリスマスイルミネーションは500年以上の歴史があり時代とともに進化してきました。ロウソクから電灯照明に変わり、今やイルミネーションに使用される光源のほとんどはLEDのものになっています。従来の光源に比べて、色の種類も多く、輝き方の表現も多種多様で、しかも良い商品が安くたくさん売られるようになりました。先程、お伝えしたようにクリスマスイルミネーションの光は星の光を意味します。
 以前、辺りに外灯など一切ないオーストラリアの広い大平原で夜空を埋め尽くす程の美しい星空を見たことがありますが、その時見た夜空は街で見る星空とは全く違い、青白い光から赤い色まで色んな色がハッキリわかる程で輝き方も様々だったことを覚えています。今のような電灯照明などなかった中世の時代、このような星空だっただろうかと考えると、当時、ルターが子供に見せたかった木々の間から輝く星の光は、単なるロウソクや電球の光より、現在あるLEDのイルミネーションが最も表現的には近いように感じるのです。

 先日お店に子供と訪れた際、様々な工夫や興味を引くクリスマスの装飾がたくさん多く売られていましたが、それらを楽しそうに選んでいる何組かの親子連れを観ていて、ふと子供を喜ばせたいと思う親の気持ちは500年前も今も変わらないのだなと感じました。

 そんな思いを抱きながらクリスマスツリーには本来の意味含めて、イルミネーションをご家族で楽しんで飾って頂き、聖夜の日はご家族や大切な方々と共にクリスマスの特別な光で「あかりの演出」を各々で楽しんで頂けたらと思います。

 今年も一年間、ありがとうございました。良いお年をお迎えください