第625回 あかりの演出 「サニタリーの照明 その2」 2018.09.28
放送日:2018年9月28日
「サニタリーの照明 その2」
前回より、皆さんがお住まいの住宅の中で、主にキッチンを除いた水回り空間となりますサニタリーの照明についてお伝えしています。今回は前回お伝えしました浴室に、隣接する洗面・脱衣室の照明空間についてお話できればと思います。
一般的な住宅の間取りで考えると、洗面室は浴室と隣り合う位置に置かれ、脱衣を行う空間としても兼用されることから、洗面・脱衣室とした一つのお部屋として計画されることがほとんどかと思います。中には家事室や室内で衣類を乾かすための乾燥エリアなどあり、様々な家事に関わる大切な空間といえます。
普段過ごす、お部屋とは違い狭い空間でありながら脱衣や洗濯、洗面・お化粧など多様性に富む行為を行う空間であることから洗面室は、それだけにデザイン性だけではなく、その多様性に合った機能性を持ち合わせたあかりが必要になる空間ともいえます。
それでは、洗面・脱衣室の照明とはどうあるべきなのでしょう?
洗面室の照明は洗面台とミラーのセットが配光の中心になります。顔色など日々の健康管理やお化粧などで使用される為、顔色が良く見えて、顔の陰影があまり強く出ないよう、ミラーの上部か左右から顔を照らすブラケットなどの照明を設置することが基本となります。昨今ではLED光源を使用した洗面照明が増え、演色性の高いものや、光色を白色と電球色にスイッチ一つで切り替えることができる照明器具など、機能性に富んだ「あかり」を選ぶことが可能になっています。
さらには、洗面シンクの真上に、挟角のダウンライトなどを設置すると、洗面器が輝き、下からの反射光も見込め、雰囲気・機能的にもワンランクアップした空間演出が可能です。
洗面・脱衣室は、一般的には2~3帖程スペースであることから今お伝えした洗面台の照明だけでも明るさは取れます。しかし洗面台の近くに洗濯機が設置されることが多いので、洗濯槽が見えることや掃除のことを考えると部屋の広さに合わせ、洗面台の照明とスイッチで分けた天井照明を主照明として設置するのが望ましく、洗面台を中心とした照明と部屋全体を照らす天井照明の併用が洗面・脱衣室の照明の基本の形といえます。
昨今、既成品の洗面化粧台ではなく、お好みで店舗のような洗面台を検討されている方もいらっしゃると思いますが、今お伝えしました洗面照明の基本を参考にしていただければ、デザイン性だけでなく、より機能的で長く使いやすい空間とすることが可能となります。