放送日:2019年7月5日

「青空ライト」

 今回は「青空ライト」といわれる太陽光を再現する新型照明のお話をできればと思います。
 現在、地下室や窓のない空間など、外部からの自然光が入らない環境でも快適に過ごすことを目的とした新型照明を世界の各社で開発している現状にあります。
 その中でも、イタリアのベンチャーが開発した「CoeLux:コールクス」に代表される、自然光を再現した通称「青空ライト」という新型照明が、市販化され商品の幅も広がってきたことで、様々な分野で注目され始めています。
 以前から、外光の入らない空間や入りづらい空間に自然光を取り入れる為、外部から光ファイバーのような仕組みで室内に自然光を取り入れる商品はありましたが、天候の変化による明るさの不安定さがあり、常設する照明として考えると使い辛いものでした。
 しかしながら、この「青空ライト」はLED光源を持つ照明器具として天候に左右されない安定した光環境の実現はもちろんのこと、その大きな特徴としては、空が青く見える散乱現象「レイリー散乱」をLEDと特殊パネルの組合せで人工的に起こし、「空の青」を室内空間で再現できる所にあります。
 器具の仕様としては、周囲のフレームにLEDを内蔵し、中央のパネル内部で光散乱を導光させるエッジライト方式が採用され、その四角い埋め込み型の器具形状は、壁に取付けた場合は窓から差し込む自然光を演出し、天井に取付けた場合は天窓のように見上げたら部屋の一部にぽっかりと青空が生まれ、自然な解放感を演出します。
 また現在、日本の企業でも「青空を模したライティング技術」が開発され、通常使用される照明器具と同程度の薄型構造を持ち、自然光に近い色表現を実現しています。
 今後の商品開発に伴って、色の異なるLED光源の発光量を自動設定で変化させる制御により、青空だけでなく時間帯よっては、朝焼けや夕焼けなども再現できるようになります。窓のない室内であっても自然光・太陽光を感じることのできる照明器具として、様々な分野で今後一般的な市販化が期待されていく事でしょう。しかしながら、商品によっては多少の弱点もあります。
 期待される所といえば、外光を取り込みづらい地下空間はもちろんのこと:例えば・・・医療施設や大型のモール・ショッピングセンター、アミューズメント施設またオフィスビルなど、外部からの自然光が建物内部まで届きづらい空間に健康的な室内日光浴として利用。室内の植物育成工場などの育成ランプ設備として、などなど今後、健康的な光環境の実現を目的として、様々な場所で取り入れられることも多くなっていくと思われます。
 このような優れた技術も、最後は使用される方の意識により良くもなり悪くもなります。今後、より健康的な生活を送る為の賢いひとつの方法として、あかりと人の関係性について理解し活かしていきたいものです。