放送日:2020年6月5日

「紫外線(UV)- LED照明」

 夏に近づくこの時期、特に多くの女性の方が気になる事に、日焼け、しみ、シワの原因になる紫外線があると思います。これから、より太陽光に含まれる紫外線量も多くなっていくので、肌のケアなど注意が必要になるでしょう。
 また紫外線は長年浴びた蓄積によっては、皮膚ガンや白内障などの重度の健康被害を引き起こすともあったりと、人体に悪い影響を及ぼすものとして、あまり良いイメージはないと思います。
 しかしながら、短時間の適度な紫外線は、成長ホルモンや自律神経系を整えるのに役立つ「ビタミンD」の生成を体内で促進する効果があったり、滅菌や殺菌用の光として役立ったりと、使い方によっては長所の面を持つ光といえます。

 そこで今回は「紫外線(UV)- LED照明」と題しまして、紫外線の長所の面を活かしたLED照明のお話を少しさせて頂ければと思います。

 この自然界に存在する光は全て「ナノメートル(nm)」という波長の数値で表記され、その全ての光の中で、人が目で認識できる光の領域を「可視光線」といい、およそ380nm~750nmの間の波長域となります。紫外線はこの「可視光線」よりも低い数値の短波長域の光となる為、人の目には見えない光となります。この見えない紫外線の短波長は、より数値が低くなると、見えないだけでなく生物にとって直接遺伝子を傷つけ、不活性化してしまうことから、地球に住む全ての生物にとっては天敵といえる光といえます。
 しかしながら、大きな生物だけでなく、種類を問わず菌やウイルスにとっても天敵であることから、飲料水や食品容器の殺菌、手術室の無菌化などに現在まで応用され、医療用など専門分野において滅菌用のUV照明として商品化が徐々に進んでおりました。
 従来光源を使った紫外線ランプは寿命も短く、殺菌精度もやや低いものでしたが、UV-LEDが2002年に開発されて以降、殺菌効果が期待できる253.7nm付近の光を狭い領域で照射できる殺菌灯の商品化が進み、徐々に市場に出回るようになりました。この殺菌効果のピーク253.7nm付近の光はUV-Cといわれ、通常はオゾン層で完全に吸収される危険な光ではありますが、インフルエンザなどウイルスにも有効で、インフルエンザよりも紫外線に弱いとされるコロナウイルスを99%以上不活化させる光とされ、昨今メディアにも取り上げられ注目を集めております。
 この後、対コロナウイルス用のUV-LED照明器具について、一般市場を想定した器具のメリット・デメリット、今後のUV-LEDについて少しご説明します。