第721回 あかりの演出 「月のうさぎ」 2020.09.25
放送日:2020年9月25日
「月のうさぎ」
秋分の日を経て、秋の深まりを見せるこの時期、秋の風物詩のひとつとされ、一年で1番綺麗に「月あかり」を鑑賞できるとされる習慣に「お月見」「十五夜」がありますが、今年はいつかご存知でしょうか?・・・今年は来週の木曜日、10月1日が「十五夜のお月見」の日となります。 そこで今回は毎年恒例のお話として「中秋の名月」を楽しむ「お月見」のお話などできればと思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、お月見でおなじみの十五夜は「中秋の名月」の通称で、旧暦の8月15日の月のことをさします。中秋とは秋の真ん中という意味で、旧暦では7月~9月までの3ヶ月間が秋にあたることから、秋の真ん中である旧暦の8月15日の月を「中秋の名月」といい、その日にお月見をする風習を「十五夜」といいます。
日本ではこの時期、夏の終わりとともに台風や雨が続きますが、中秋の頃には大陸から乾燥した空気が流れこむ為、秋晴れが多くなり大気も澄みきり月がハッキリと見られる季節となることで、その美しい「月あかり」を愛でて楽しむ風習が伝わったとされています。
ところで、「月にはうさぎがいて、餅つきをしている」なんて言い伝えを、一度は耳にしたことはありませんか?・・・子供の頃に月を見上げて、餅付きをするうさぎを探した方もいるかもしれませんが・・・私も子供の頃、うさぎを探したくちですw
では、なぜ月にうさぎがいるといわれるようになったか、理由をご存知でしょうか?
この言い伝えの起源はインドの「ジャータカ神話」などの仏教の説話とされています。
※この後、簡単に「月のうさぎ」の話をします。
この説話が中国に渡り、中国では、月のうさぎが杵と臼を使って不老不死の薬を作っていると考えられるようになり、その後、日本に伝わり、貴族の楽しみであった「お月見」が民間でも豊かな実りの象徴として十五夜を鑑賞し、お供えものをして豊作を祈願して感謝や祈りを捧げるようになった平安時代末期に「今昔物語の説話集」に収録されたこともあり、「不老不死の薬」から五穀豊穣を祈願して「餅つき」に変化して「餅つきをするうさぎ」が広く知られるようになったようです。
月をよく見ると、隕石がぶつかって出来たとされる地形の高低差によって、白っぽい部分と黒っぽい部分に分かれ、何かの模様に見えています。この模様の形が「何と無くうさぎに見える」ことから生まれた説話なのでしょうが・・・実際うさぎに見えるかな??
実は、この月の模様、他の世界の様々な国では、それぞれ見え方が異なる様で・・・
例えば、
・欧 州では→大きなハサミを持つカニ・水をかつぐ人
・アメリカでは→女性の横顔、トカゲ・ワニなど
・アラビアでは→吠えているライオン
・インドネシア→編み物をしている女性
・モンゴル →犬
・・・などなど
同じ月を見ていても、国や地域によっていろんな観方をしているのは面白いですね。
今年はコロナ禍もあり、日本古来の季節を愛でる行事も限られ、「あかり」を楽しむ機会も少なく寂しさを感じます。そこで、十五夜のように「月あかり」を楽しむ時間は、日本人の心に触れ、和み、心温かく豊かな気持ちにさせてくれるはずです。
ぜひ、皆さんも季節を楽しむの行事のひとつに「お月見」を加えてみてはどうでしょう。
この時期限定の美しい「月あかり」による「あかりの演出」を眺め、天然の間接照明に癒される贅沢な時間の中で、ご家族や大切な人とご一緒に月を眺めながら、月のうさぎの話やうさぎに見えるか?・・・なんて「月のうさぎ」楽しんでみてはいかがでしょう。