放送日:2020年10月2日

「昼の光と夜の光・・・その1」

 10月に入り、残暑も落ち着き、より秋の深まりを感じさせる時期となってきました。秋になると日の沈む時間も早まっていくことで、秋の夜長といわれる夜を楽しむ時間も増え、ご自宅でより照明が活躍する季節となってきます。
 そこで、今回はこれからの季節、1日をより快適に過ごす為の照明方法のご提案として、「昼の光と夜の光」と題しまして、昼と夜、それぞれの生活時間に適した「あかり」の考えて方についてお伝えしたいと思います。

 秋は季節の変わり目として、気温の変動や天候も変わりやすいことから、身体に支障をきたしやすく、また窓から入る自然光も安定しないことから、気分も浴びる自然光の量に影響して精神的にも不安定になりやすい季節といえます。
 例えば、同じ朝の時間帯といっても、朝から日中にかけて白く明るい光を浴びた場合は、自律神経系の交換神経がスムーズに働き、快活で活動的な気分になりますが、雨や曇りのような薄暗い朝は、目覚めも悪く、仕事や学校に行きたくないなぁ・なんて気分になる傾向があります。

 このような気分の変調を起こさせる要因の多くは光による影響が大きく、また気分だけでなく、秋は特に自然光も安定しないことから、自律神経系の切り替えがスムーズに行われにくくなることで、身体にも少なからず影響が出やすい季節といえます。
 そのため、室内に入る自然光の量に合わせ室内照明を補い調整することや、昼と夜、明るい時間と暗い時間の光環境の整理が大切になってくるのです。

 さて、ただ漠然と家の照明はとにかく暗い場所を明るく照らす事ができれば良いと、お考えの方も多いと思いますが・・・
 実のところ住宅照明は、オフィスや店舗などある程度、決まった目的、決まった時間に限って使用される照明の照らし方と違い、朝、・昼・晩と1日を通して快適に過ごす空間になることから、明るい日中を過ごす照明と、夕方から夜にかけて暗くなった時の照明と、大きく分けて「昼の光」と「夜の光」の2パターンの明るさ感が必要となると思われます。
 その理由のひとつに、人は長い人類史の中で太陽の光を浴びながら生活してきた為、人工の照明が開発され、夜でも昼間の様に明るい光環境の中で生活できるようになった現代であっても、太陽の軌跡合わせた自然光の明るさ感や光の色を感じる環境の中で過ごすことが、人にとっては、心身ともに最も安定する光環境といえるからです。

 この事から、安定した自然光の光環境を少なからず住空間に取入れる方法として、照明時間に意識向け、昼と夜の「あかり」を使い分けてみるだけで、自律神経系のリズムも整い、心身ともに快適な生活を過ごしやすくなります。
 そこで次回は、昼・夜の照明の創り方など、具体的にご提案できればと思います。