放送日:2021年5月21日

「光の明るさ」

 今回は「光の明るさ」を表す代表的な照明用語から、これからの“あかるさ感”の捉え方についてお伝えできればと思います。
 ひと言に「明るさ」といっても、人それぞれに感じ方は違い、その時々に応じた使い方・時間帯、また年齢・生活スタイルなど、諸条件によって違ってきます。
 照明に照らされた同じ空間に入った時、ある人は薄暗いと感じ、また、ある人は丁度良い明るさと思うかもしれません。その為、普段使用する照明を計画する際、使用される方の趣向を捉えた上で、使う場所やシーンに応じたあかるさ基準がJISや工業会にて定められており、それらに合わせ照明器具の明るさ・灯数を数値によって選定する形があります。
 では「光の明るさを表す」言葉をご存知でしょうか?
 代表的な4つの明るさ用語として、光束、光度、照度、輝度があります。
 これらは、それぞれに光の特性を数値で表すことができる用語で、どんな照明器具・ランプにも、これらの数値が設定されています。

① 光束とは・・・光源から出る光の量をいい、単位はlm(ルーメン)で表します。この数値が高ければ高いほど、単純に明るく、光を多く照射することになります。

② 光度とは・・・光源からある方向に出る光の強さをいい、単位はcd(カンデラ)で表します。照明器具から照射される光はどの方向にも同じ強さで出るわけではなく、方向によって強さが違います。この数値がわかることで、どのくらいの明るさで広がるか、どのくらいの距離を照らすことができるかなどがわかります。

③ 照度とは・・・光源から出た光が壁や床など、ある面にどの程度照らされているかをいい、単位はlx(ルクス)で表します。細かな文字などを見る視作業を行う机の卓上面の明るさとして机上面を照度500~750lx程度として推奨されていますが、例えば、この照度数値を天井照明で計画する場合、天井から卓上面までの距離を測ることで、照明器具から出る光束量をどれだけの光度で照らすかを数値によってある程度図ることが可能になります。

④ 輝度とは・・・光源自体や照らされた面のの輝き・明るさ加減をいい、単位はcd/㎡(カンデラ/平方メートル)で表します。この数値は、見る方向によっても違い、照明の条件が同じでも、照らされる物の色や素材、また、それらの反射率が異なります。

 これら4つの単位の数値により、その光源、その空間の明るさ感の特徴をある程度、計画時につかむことができます。しかしながら、数値に頼りすぎると失敗するケースがあります。従来は照度(ルクス)の数値に頼った照明計画が行われていましたが、実際、仕上げ材の色や反射率によって、空間の見え方が大きく異なることになります。
 
 その為今後は、照度だけでなく輝度を重視した計画(建築との調和)が重要になるのです。