放送日:2021年8月6日

「続・演色性の活用法」

 前回は、光の「演色性」についてお話させていただきました。
 まず、おさらいとして・・・
 「演色性」とは光の特性を表す言葉で、光による物の色の見え方のことを言います。

 現在、私たちの生活に欠かすことのできない照明器具などの人工の光ですが、これらの人工光が開発される何十万年も前から人は、太陽や火の光の中で生活し続けてきました。その為、人間は自然光に照らされた物の色の見え方を最も自然な色の見え方として感じる特性が有史以前より備わっています。
 つまり、自然光により近い見え方になる光を演色性が高い光と表します。これら演色性の度合いを示すのにRa100を最大値とした平均演色評価数という数値が用いられ、照明用光源の性能を示す一つの指標となっており、現在、日本ではJISの照明基準によるとRa80以上が推奨され、我々が生活の中で使う一般照明・ランプの光源もこのRa80以上のものがほとんどとなります。→※一般的なシーリングライト=Ra83~85程度
その中でも、Ra100に近い数値となるRa90以上の光源を持つ照明器具は一般的に高演色タイプの照明器具といい、従来まで色の再現性を重要視するような専門的な分野で使われていました。例えば、絵画などを照らす美術館、患者さんを診察する病院、チラシ・写真などを取り扱う出版関連、また、飲食・服飾・美容など、特に色を重要視するような様々な分野において色を忠実に再現し、より艶やかに魅せることの必要する場所や空間で使う照明として用いられていました。
 では、このような演色性の良い高演色タイプの照明を住宅照明で使うとしたら、どのようなお部屋で使うのが望ましいのでしょう?
 例えば・・・お化粧や洗濯をする洗面化粧台周り、食材を取扱い調理するキッチン、またお料理を並べる食卓テーブル、そして、勉強や諸作業を行うデスクの手元などがおススメとなります。

 従来までは、専門的な場所で使われていた高演色タイプの照明ですが、近年、主流の光源がLEDに変わり、技術的な進歩もあって従来光源と同等またはそれ以上の演色性をもつLED光源が、しかも安価で購入できるようになりました。これによって今までは主に専門的な場所に限り使われていた高演色タイプの照明が、住宅など一般照明においても普段から使うスタンダードな照明として、もちろん住宅以外の用途でも、今後はより多くの高演色照明が広く使われるようになると思われます。
 
 最後に、手前味噌ではありますが、弊社が照明設計を手掛けた飲食店の実例をもとに竣工写真を見ながら、高演色照明の使い方や、鮎やの紹介を少し交えながらお伝えしたいと思います。