放送日:2021年10月1日

「続・秋のあかり」

 最近、日々刻々と日の沈む時間も早くなり、夜暗くなってからの時間も長くなっています。「秋の夜長」なんて言ったりもしますが、これから、ご自宅の照明がより活躍する季節に入ります。そこで今回は「秋のあかり」と題しまして、この季節を気分良く快適に過ごす為、ご自宅でも出来る「秋のあかり」の使い方について考えてみたいと思います。
 
 秋は天気も変わりやすく、窓から入る自然光も安定しません。また、人の体は季節の変わり目に支障をきたしやすく、気分も浴びる光の量に影響して不安定になりがちです。
 もともと人は昼行性ですから、朝から日中にかけて白く明るい光を浴びる事で自律神経系の交感神経が優位に働き、活動的な気分になります。しかし、雨やどんよりとした曇りの朝は目覚めも悪く、仕事や学校に行きたくなくなることがあります。このような気分にさせる原因の多くは光の影響によるものといえます。
 もし、朝から日中にかけて天気が悪く室内に入る自然光も弱い場合は、お部屋の照明で補うことをお勧めします。例えば、最近の調光調色機能の付いたLEDシーリングライトでいうと明るめの温白色が最適といえ、いわゆる電球色に白色を混ぜた中間の光色です。
 白色光ではなく電球色に白色を混ぜた中間の光色(全灯)を選択する理由は通常、調色調光機能の付いた照明器具は電球色の素子と白色に光る素子が混ざって照射面内部に配列されており、片方だけの光色に設定した場合、全光束の70%程に明るさ減となる。適度な明るさを適正とする電球色と違い、白色光の場合、明るさが足りないと陰気な雰囲気となり心理面でもあまり好ましくない光となる為、朝や日中の間は白色光だけでなく、電球色も混ぜった全灯の状態の光色が、住宅で使用される調色調光機能の付いた照明器具では適正と思われます。
 
 また、逆に夜は柔らかい電球色の温かな光でお部屋全般はあまり明るくしないことが、自律神経系の副交感神経を優位に働かせ、リラックスした気分を高めます。夜に昼間の活動的な時間に浴びているような白い光の中にいると何となく寒々として気持ちがブルーになりがちになります。電球色の温かな光といっても部屋全般を照らすだけではなく、できればお部屋全般は少し暗めに落として必要な所だけ明るくするように心がけたいものです。
 読書の秋なんていいますし、この季節に読書をされる方もいらっしゃると思いますが、その際は、周囲は適度に暗く手元の紙面に明るい光が照らされていれば十分です。※イメージするとしたら、夜間飛行中の機内の読書灯の雰囲気です。
 その他にも、秋の夜長の楽しみとして、映画を鑑賞したり、静かに音楽を聴いたり、ご夫婦で晩酌したりと楽しみ方はいろいろあると思いますが、その際にも同じくお部屋全般は暗くして、フロアスタンドなど光源の低い適度な「あかり」を1つ、2つ置くだけで、雰囲気もガラっと変わり、日常とは異なる部屋の様子を感じれ、仕事に家事に疲れた気分を癒してくれる「あかりの演出」になると思います。
 
 主にリビングルームなど寛ぐお部屋の照明には、白系の明るい光と電球色のような温かい光の両方を用意して、窓から入る自然光の量や、その日の気分、生活行為に合わせて、朝、昼、晩と1日のサイクルの中で上手く「秋のあかり」を使い分けすることが、普段の生活もより豊かになり、この季節を楽しく快適に過ごす「あかり」の秘訣となるでしょう。